現在神奈川県で施工中の新築物件に、当社の深谷土(荒木田土)をご使用いただいております。こちらの現場では、「きずり(木摺り)下地」を活用して下地材を組まれています。きずり下地は、一般的に漆喰壁によく使われますが、土壁の下地としても活用できます。現場の写真を送っていただきましたので、こちらのブログで紹介させていただきます。
きずり(木摺り)下地に土を塗る
土壁の下地としては、伝統的に竹網が使われてきました。また、その簡易版として最近では壁紙にラス網を張り、その上から土を塗るという手法を選択される方もいらっしゃいます。このブログでもこれまで竹網やラス網を使った実例をご紹介してまいりました。
「きずり(木摺り)下地」は、木を使った下地で、一般的には、漆喰用の下地として使われます。「きずり」と呼ばれる細くて薄い木の板を、柱に等間隔で打ち付けたものなので、竹網と比べると大変シンプルな構造と言えます。時間や労力、そして予算を削減できる点がメリットであり、現代の建築物においてはより現実的な選択肢となります。
▲きずり下地を打ち付けた状態
▲きずり下地に土を塗ったところを裏側から撮影しました。こうして木の隙間から土がはみ出るように塗ることによって、土が固まった後も下地から剥がれにくくなります。
▲土を塗った後、「ハケ引き」という作業を行います。この上からもう一度土を塗る際の引っかかりを良くする効果があります。
フカネンでは、これまでもきずり下地での土壁の施工を担当したことがあり、その時の経験を今回の現場でも生かすことができました。こちらの現場では、きずり下地の上にフカネンの荒木田土(下地および仕上げ用)を二度塗りし、仕上げ材を重ねていく予定です。
調湿効果のある深谷土(荒木田土)
こちらの物件は、今後倉庫として使われるそうで、深谷土の調湿機能(湿度を調節する機能)に注目して今回ご依頼いただきました。
当社では、乾燥土(極小~大)のほか、現場での作業を効率アップできる練り土(藁入り、藁なし)をご用意しています。また、独自配合により中塗だけでなく仕上げ用としてもご使用いただける深谷土(荒木田土)仕上げ用もございます。
おわりに
土は伝統的な建築素材ですが、その下地材についてはさまざまに効率化することが可能です。伝統的な竹網に比べると、きずり下地は、材料が手に入りやすく、作業速度を上げられるというメリットがあります。当社では、きずり下地の実績のある左官職人さんをご紹介することもできます。土壁やきずり下地をご検討されている方はぜひ一度お問い合わせください。